ハバロフスク市はロシア沿海地方の北にあるハバロフスク地方の首都です。今回の記事ではウラジオストクとともに極東の都市として有名なハバロフスクを取りあげます。
ハバロフスクについて
ハバロフスク市はロシア極東で重要なアムール川の西端にあります。人口は約61万人です。ロシア史の中では1858年からハバロフスクが登場し、1920年頃のシベリア出兵の際は列強に対する緩衝地帯として機能しました。2000年からプーチン大統領による極東連邦管区制への再編でハバロフスク地方に属しています。
当初からロシアにとって監視拠点としての色彩があり、2002年になれば極東連邦管区の本部が置かれました。ちなみに中ソ国境紛争のテーマでもあった大ウスリー島はハバロフスクのすぐ西側に位置しています。
アムール川に浮かぶ大ウスリー島についての引用
”淡路島の半分にも匹敵する面積のこの島は、中国にとっては主要航路の中間線の自国側にあると見ていたが、ロシア側にとっては戦略的要衝の島だったのである”
歴史に学ぶ現代の諸課題 中ロ国境画定に学ぶ 領土問題 堀江則雄
ウラジオストクとそっくり?
以上の概要を見ると、非常にウラジオストクと類似しているように思います。両都市ともに、ロシアの歴史として1858年に登場し、地政学的に重要な場所であり、さらに人口規模までそっくりです(ウラジオストク人口は約63万人)。ハバロフスクとウラジオストクに時差もありません。ただ、ハバロフスクの方がウラジオストクより640㎞北にあるという点については違います。
多大な影響力のあるアムール川
ハバロフスク観光で押さえておきたいのはアムール川でしょう。アムール川を挟んだ対岸の大ウスリー島や中国を見ることができます。地球の歩き方のシベリア編(2017~18年版)にも遊覧船の写真が紹介が紹介されています。冬にはアムール川が凍結し、対岸へ徒歩で渡ることもできます。
左奥から流れるウスリー川と中央奥から流れるアムール川が合流する地点
By I, Ondřej Žváček, CC 表示 2.5, Link
アムール川は尼港事件のあったニコラエフスク・ナ・アムーレからハバロフスクまでつながる大河です。2013年には大洪水の被害をもたらしています。そして、前述の中ソ国境で解決困難とされていた大ウスリー島に接続しています。つまりこのアムール川はサハリンの海域と中国を結ぶ重要な河川なのです。
アムール川とそれが原因ともなった歴史を知ることで、ハバロフスクを旅行する際に一層の興味を持てるのではないかと思います。